余所者-よそもの-【 2 】
「んだ?てめぇ。その制服は”カモ”だな。いいぜ、お望み通り一緒にボコってやんよ」
不良たちは瑞生に向かって凄んだ。
瑞生に喧嘩なんか出来る訳がない。
マジで、もっさりメガネ諸共まとめてやられる。
そう思った俺は、どうしてだろう。
このとき、勝手に身体が動いた。
「なんだテメ、グぁ……ッ!」
瑞生に向かって拳を振り上げようとした男を、右ストレートで殴り伏せた。
すると、間髪入れず俺を殴ろうと、後ろから近づいてきた男を、
「――がァハ……!」
なんと、瑞生が一撃のアッパーカットでねじ伏せていた。
「……は?」
俺は一瞬、意味がわからなかった。
え、なにお前。喧嘩もできちゃうの?
お前みたいなヤツに無骨な喧嘩は似合わなすぎる。
なんか、違うだろ。
でも瑞生の喧嘩は無骨とは程遠かった。
一撃で相手を地面に沈める動きは、まるで何かのマジックみたいに鮮やかだった。
残る二人の内、一人をあっという間に戦闘不能にしやがった。
それを目の当たりにした俺はもう、大慌てで最後の一人を不格好に殴って、不格好に蹴とばした。
「……なン……だ、お前ら……」
四人の不良を、瑞生と俺で二人ずつ。
仲良く撃退。
このときの俺は妙な気分だった。
嬉しさ半分、悔しさ半分。
――後になって、このとき助けに入った理由をユキに聞かれたとき、俺は、
『お前が殴られると学校の女子が泣くと思ったから』と答えた。
でも、本当は違う。
多分、俺はずっと探していた。
瑞生に何も勝てないと思っていた自分。
もっさりメガネは、瑞生をガリ勉根性で負かせてみせたっていうのに。
俺にだって何かコイツに勝てるところはねぇかって。
そう、ずっと接点を探していたんだと思う。
これが俺とユキの出会い。
俺からすれば少し肩透かしで、恰好のつかない出会いだった。