余所者-よそもの-【 2 】
「でもでもっ瑞生くんと潤くんのおかげで助かったよ!うん、これで助かった!もう安心だ!」
ワハハハハ!と能天気に笑い出すコイツに、俺は現実を教えてやらないといけない。
「終わらねぇよ。こういうのは終わりがねぇ。アイツら暇なんだ。瑞生と俺にボコられたのが悔しくて、次は勝てる人数で来るぞ」
「そん……な」
途端、一気に絶望するもっさりメガネ。
だから俺は最初、見て見ぬふりを決め込もうと思ったんだ。
さて、これからどうしたもんかな。
イタ校が来たら来たで、なるようにしかならないんだけど。
腕を組んで考えていると、ふと横から視線を感じる。
見れば、瑞生が俺のことを瞬きもせずに見つめていた。
その瞳はこの日初めて、ちゃんと俺という人間を正面から映した気がする。
何か、内側から好奇心が湧き出したような。
そんな純粋な子供の目みたいに、瑞生の瞳の奥が微かに光って見えた。
「なんだよ」
「じゃあ、なぜ君は助けに入ったんだろう。あまりに非合理だ」
「それはお前だってそうだろ」
「そう。だからさっきからずっと考えてる。でもわからなくて」
「……は?」
「なんで、この身体が意思なく動いたのか」
なんだ、コイツ。
なに変なこと言ってんだ。
「……そりゃ人間なんだから、そういうこともあるだろ」
不可解な瑞生に、俺は当たり障りのない回答をして、地面に置いてあった自分のスクールバッグを片手で拾い上げた。
「それから。俺は『君』じゃなくて『潤』だから。次あったらちゃんと名前で呼べ」
「………」
返事をしない瑞生の代わりに、もっさりメガネが大きな声で「またね、潤くん」と手を振った。