余所者-よそもの-【 2 】
「どうする?」
俺は間髪入れず尋ねた。
すると瑞生は口の端を少しだけ上げて、天使のように微笑む。
「潤ちゃんはすごいね。昨日言ってた通り、本当に大勢で来た」
いや、感心してる場合かよ。
そう心の中でツッコんだけど、俺もなんかおかしくなったのかもしれない。
いきなり名前を呼ばれた。
しかも笑いかけてきやがった。
「………」
勘弁しろよ。
うっかり芽生えちまうじゃねーか。
「それで、これはどう対処するのが正解?」
「正解なんかねーよ。テストでもあるまいし」
「正解がない?」
「大雑把にいうと二択かな。一つは俺らが今ここで出て行って、イタ校の連中にシバかれる。もう一つはシカトぶっこいて、あのもっさりメガネがイタ校にシバかれる」
「どちらの選択もとても無意味だ。得るものがない」
「そうだな。お前はどっちがいい?俺はお前が選んだ方に付き合うよ」
俺は頭の後ろで手を組んだ。
判断に多少の時間がかかると思ったから。
でも予想と反し、瑞生はすぐに迷いのない足取りで正面玄関へと歩きだす。
「行くんだな?」
覚悟を問うようにして尋ねれば、瑞生は足を止めずに言い退けた。
「アイツが一人で殴られたところでどうにもならなそうだけど、潤ちゃんが居るならなんとかなるかもしれない」
「買い被りすぎな……」
「それに。考えても考えても、やっぱりアイツが殴られるのは嫌だ。どうしてだろう」
「そりゃお前……」
お前にとって、あのもっさりメガネが”友達”だからだろうがよ。
その声は校庭の砂を踏みしめたことにより、大音量になって耳に飛び込んできたバイクのエンジン音にかき消されて、誰の耳にも届かなかった。