余所者-よそもの-【 2 】
「………」
踏みにじられた、砂利の音。
俺は信じられない気持ちで目を見開いた。
瑞生が何の躊躇もなく、一歩前に踊りだしたからだ。
「……待て。無理だあんなの。やめとけ」
瑞生はこちらをゆっくりと振り返る。
「大丈夫。俺、アッチの方が得意」
そしてまた訳の分からないことを言い残し、熊の目の前に立ちはだかった。
「お前が相手か」
「ああ」
二人が対峙する。
並んで見て、改めてよくわかる。
瑞生と相手の体格差は、一回りも二回りも違った。
まるで大人と子供だ。
無理だって。よせって。
そんな祈りも虚しく、熊が瑞生に襲い掛かる。
「ダァァァラァァッ……!」
ブゥン、と空気を殴った音が響く。
瑞生は大振りの拳を冷静に見極め、避けた。
「次ゃ、当てっぞ!」
そう言って再び鈍器のような太い拳が振り上げられる。
「………」
それでも瑞生は寸でのところで交わし、カウンターとして肘で熊の後頭部を槍のように突いた。
「……ア?」
熊は予期せぬ反撃に呆然と声を漏らし。
痛みよりもあまりにも早すぎる猛攻に、なぜ攻撃を食らったのかが理解出来てないようだった。
「なん……しよった?」
呆気に取られて硬直する熊も無視。
瑞生は挑発するように、指でクイクイとソイツを手招く。
カチンと来た熊は、力任せの攻撃を繰り出した。