余所者-よそもの-【 2 】
「君たちに僕の気持ちはわからないっ!!勉強する必要のない潤ちゃんにも、勉強しなくたって点数を取れるユキくんにも!!」
「どうした。落ち着けよ」
「君たちと遊んでいたせいだ!僕はなんて無駄な時間を過ごしてしまった……」
「おい、コタコ」
いい加減にしろ、と感情を荒げるコタコを咎めようと思った。
でも、それまで横に黙って立っていたユキがそれより早く。
その遠慮のない、無垢な口を開いてしまう。
「なんでコタコは怒ってるの?」
「だって、君たちが……」
「テストを受けたのはコタコ自身。点数を取れなかったのもコタコ自身。テストはコタコが出した一つの結果」
「………」
「それに、テストで点が取れたからって何になる?高得点だろうが、満点だろうが、得することなんて一つもないのに」
「なんだって……?」
ユキの純粋な疑問と残酷な正論が、コタコを追い詰めた。
俺がユキに「やめろ」と言った時にはもう遅かった。
コタコの顔が、青から赤に変わっていた。
それはいつもの照れた茹でダコではなく、昇りに昇った血に頭が沸騰したようだった。
「そうやって……君はずっと僕を見下してきた……」
コタコはブチ切れた。
悔しさに歪んだ顔を一度深く伏せた後、振り上げるように向けられたその表情には、どろどろとした憎悪がこれでもかと滲んでいた。
「入学式の時からそうだッ!君は主席で合格したのに、二位の僕に首席挨拶を押し付けたッ!!」
「………」
「僕は主席で合格しなければならなかったのに、それが出来ずに恰好だけを取り繕われたっ!惨めだった、ずっと惨めで、惨めなままだった……!だから僕は、僕は……」
一度彷徨ったコタコの口は、それでも止まらなかった。
「――僕はずっと、ホントは君が憎かったんだ……!」
そう叫んだコタコは、瓶底メガネの奥から一筋の涙を零すと、俺たちの前から走り去った。