余所者-よそもの-【 2 】
俺は呆気にとられ、少しの間その場に立ち尽くした。
いつも能天気に笑っていたコタコが、あんなに思いつめていたなんて知らなかったんだ。
俺は振り返り、ユキの顔を覗き込んだ。
これといった表情の浮かばない綺麗な顔に、コイツの心の内がわからない。
大丈夫か?
そんな目で、コタコの消えた先を眺めるユキの横顔を見つめ続けた。
やがてユキは俺の視線に気が付き、長いまつ毛に縁取られた瞳で、一度だけゆっくり瞬きをした。
「俺、コタコを見下してた?」
「いいや」
「入学式の挨拶は、ただ面倒で断っただけだ。コタコが入試で2位だったことも、コタコが引き受けることも、なんならコタコの存在も俺は知らなかった」
「そうだな」
「俺、コタコに憎まれるようなことをしたかな?」
ユキは極めて冷静に自分の中を探している。
コタコが怒った理由を。
だけど、それじゃいつまで経っても見つからない。
そもそもこの答えは、お前の中には存在しないんだから。
「アイツんち、代々医者家系らしい。多分、相当プレッシャーがあるんだろうな」
「それはおかしいよ」
「うん?」
「コタコの家系なんて、俺に関係がない。なのに俺を恨むのは筋違いじゃないのか?」