余所者-よそもの-【 2 】
彼女の額のド真ん中に今も残っている、この街で出会ったときの大きな傷跡。
ぼうっと眺めながら、ふと思う。
この子はとても不思議な子。
一見、死にたがりかと思うほど、傷を負うことに躊躇いがない。
でも、どうしてだろう。
これまで出会った誰より、カナコちゃんは人間臭かった。
生のずっとスレスレを死に物狂いで生きてる感じがする。
自分が生きることに必死なくせ、自分が生き続けるために他人を必死に生かそうとする。
生き続けるために、自分の命をちぎって誰かに分け与えているような、そんな血生臭い何かに覆われている。
きっとこの血生臭さの正体は、優しさ。
カナコちゃんの行き過ぎた気遣いや優しさは、自分以外の誰かに見返りを求めない。
――『……コタコは。最も効率的な生き方を選んだんだね』
ユキは、社会人になってからも全てを論理と効率で処理してきた。
店の経営も、人間関係も。
わかりやすい損得勘定と利害関係の上で成り立たせ、自分をコントロールしてきた。
だけどカナコちゃんは”心”でしか物事を考えないから。
心で行動するカナコちゃんを、頭で行動するユキには、コントロールができない。
論理と効率に逃げたがるユキにとっては、天敵だ。
そして、天敵だからこそ目を離せない。
――『アイツ、紫藤とデキてんだぞ!?』
――『……AnBarを出ていけって』
こうやって、ユキの頭がパンクする。