余所者-よそもの-【 2 】
「他の男に触れられてると思うと、全部がもう嫌になった。もうアイツの顔なんか見たくないって思った」
「それで距離を取ったのか?」
「でも目を離したら離したでいろんな妄想が頭から湧いてきて、気が狂いそうになる。俺の知らないアイツの顔を誰かが先に見てると思うと、頭の中がうるさくて仕方ないし、それに、」
「うん?」
「俺が俺でなくなっていく感覚がする。考えるより先に、足がアイツの方に向く。頭はそんなこと望んでないのに、身体が勝手に触れたがる」
――『でもわからなくて。なんで、この身体が意思なく動いたのか』
今コイツがパニクってんのは、胸から溢れる感情の正体がわからないから。
ユキにとって、正体のわからないものはただのノイズ。
その極めて効率が悪いものを、脳みそは異物として排除しようとする。
だから、正体を教えてやる必要がある。
――『こういう関係をね、『友達』って言うんだよ』
モノの正体がわかると、ユキは感情をそのものとして学習して、受け入れだす。
ただ定義と感情を結びつけてやるだけ。
――『俺は……コタコと、遊びたい』
定義を与えさえすれば、コイツの頭は安心して感情の処理を始めることができる。