余所者-よそもの-【 2 】
俺は一度、深く息を吐いた。
もう、この街に来て七年か。
人に興味を持たなかった。
とことん人を遠ざけてきたお前が。
初めて本気で欲しいと思うものを見つけたんだな。
親友として、こんなに嬉しいことはない。
「ユキ」
「なに?」
俺はソファから立ち上がり、ユキの目線まで屈んだ。
ユキのその迷い子のような瞳に、俺の顔は少し緩む。
いつかみたく、丸めた拳を――トン、と、ユキの胸の真ん中に当てた。
「ユキ。今お前が苦しいと思う感情の名前は、『嫉妬』」
「……嫉妬?」
「嫉妬の源泉は『恋心』」
ユキの心が、温かく、優しく、開いていく。
「お前、カナコちゃんのこと好きだろ」
あの日、屋上で冷たく眠ったままの心が、雪解けて。
今この瞬間に再び芽吹いていく。
とくん、と時間が動き出す。
未知のものに触れたような、ユキの瞳のその奥で。