余所者-よそもの-【 2 】
「……恋?」
「そー」
「好き?」
「ああ」
ユキは戸惑いながら、真っ直ぐに俺を映した。
「これが?」
まるで『こんなのが?』とでも言いたげな疑問。
『恋』ときいて思い浮かべるのは、もっと軽やかなものだったのかもしれない。
ユキの抱えている感情はドロドロでぐちゃぐちゃ。
頭で知ってる言葉の意味と、自分の感じている状態がまるで嚙み合わないんだろう。
ユキはしばらく難しそうな顔で考えた。
考えた挙句、ド真面目な顔で、
「どうやったら治る?」
と、まるで自分が病気にかかったかのように聞いてきやがった。
コタコの時もそうだった。
定義を知れば、興味に変わる。
興味は、ユキを学習させる。
つまり、ちょっと時間がかかる。
経験をするしかない。
「とりあえず、カナコちゃんの話でも聞いてやれば?ずっとシカトしてたんだろ?」
「それが怖いんだよ。AnBarを出ていくとか言い出すかもしれない」
「シカトしたまま、カナコちゃんが他の男のところに行ってもいいのか?」
「それは……嫌だ」
「もう放っておけないんだろ。じゃあ放っておくな。お前にとってカナコちゃんはそういう存在。受け入れろ」
ユキはしばらく座り呆けたまま、黙ってぼうっとしていた。