余所者-よそもの-【 2 】
さて、野暮用も済んだし、そろそろ帰るか。
そう立ち上がると、俺のスラックスの裾をユキが掴んだ。
「なんだよ」
「好きって、他の女と何が違う?」
俺は「ん-」と考えた。
違うことなんか山ほどある。
それにユキの場合、好きは好きでも結構な重症具合。
今の時点で他の女と比べるまでもなく、ぶっちぎりでカナコちゃん大好きだろうが。
……とは思うが、なんて伝えるか。
「触れたときのテンションが違う」
「触れる?手をつなぐとか?」
「まあ。あとはキスとか」
「ふぅん」
ユキは納得したのかしてないのか、曖昧な相槌を打ち、俺の裾から手を離した。
俺はリビングの扉に手をかけたところで「あ。そうだ」と、一つ言っておきたいことを思い出した。
「お前って、気に入ったヤツにあだ名をつけるクセがあるよな」
どうしてカナコちゃんにあだ名をつけたのか、一度よく考えてみるといい。
これは俺からユキへの宿題。
それだけを言い残して、ユキの家を一人静かに出た。