余所者-よそもの-【 2 】
「………」
ベッドの上で距離をとって、その顔を改めて眺めて、なお思う。
ユキだ。
本当にユキだ。
ユキはとても怒った顔をしていた。
眉間の皺に加えて、ムッと下がった口端。
私から思いっきり逸らした視線。
……私が勝手に家に上がったからだ。
「ユキさん、ごめんなさい。すぐに帰ります」
私はベッドの上を四つん這いになりながら縁まで移動し、ベッドから床の上へと転げ落ちるように降りた。
家に勝手に上がったこと以外にも、謝らないといけないことはたくさんある。
でも、今のこの回らないこの頭じゃ、どうしたって上手く伝えられないだろうし。
生半可で適当な謝罪だってしたくない。
日を改めて元気になってから、ちゃんとユキの目を見て謝りたい。
だけど床に着地した足元が、どうしたっておぼつかない。
視界は万華鏡を通したみたいに、ユラユラ揺れる。
するとドアノブ目指して伸ばしたはずの右手が、空間にスカッと空振りして。
その勢いのまま身体が前方に倒れそうになった。
すると、――バン、と扉を叩く物音と共に、私の身体は背後から包まれるような形で抱き留められた。
目の前には、扉につっかえるようにして、真っ直ぐに伸びたユキの腕。
私の耳たぶにユキの息が「はあ」と耳を掠めた。