余所者-よそもの-【 2 】
「痛い?」
「見た目ほど痛くないですよ」
私がそう言っても、手の傷口をじいっと、瞬きもせずに見つめ続けていた。
痛くないのは強がりでもなんでもなく、本当。
もしかしたら熱のせいで痛みに鈍くなっているのかもしれない。
それでも目の前の彼は、その傷口をとても労わるような目つきで愛でる。
「……痛いね」
短く零して、やっとのことで始まった手当て。
冷たい脱脂綿が、静かに私の傷口を滑った。
その瞬間、私の右手がピクリと痙攣したみたいに跳ねた。
ユキの声に導かれたみたいに、「痛い」って声に出したくなる程の痛みが突然手のひらに走る。
「こんな風になるまで、放っておいて悪かったよ」
ぽつりと呟かれた表情。
悲痛に顔を歪めていて、ユキはまるで自分の心を痛めているようだった。
するとズキリと疼いた右手から、何かの信号が送られてきたみたいに、つられて私の胸の奥まで痛い。
「ユキさんのせいじゃないです」
「じゃあ、誰のせい?」
「私のせいです」
「なんでそうなる」
「全部、最初からわかってたんです。わかっていたから、自業自得です」