余所者-よそもの-【 2 】


「Z地区に迷い込んだ彼は、たった一人で死にました。私のせいで死にました。私は彼が死んでしまいそうだとわかっていたのに。助けてって言われたのに。それでも見て見ぬふりをしました」


私は逃げた。
逃げて、逃げて、ずっと逃げ続けてきた。

――『お前は逃げた。自分の手に負えねぇって、見て見ぬふりをした。それだけのことだろ』

シドにそう突きつけられた夜、私は自分の弱さから目を逸らせなくなった。

あの人は知っていた。
私が逃げたことも、彼を見捨てたことも、全部。

それでも、シドは。
その焦げ付くほどの熱さで、全ての痛みを忘れさせてくれた。


「あの人は……私の弱さを、何も言わずに、全部引き受けてくれました」


私はその熱に縋った。
赦されたような気がして、とても安心した。


でも、ユキの冷たい手に触れられるたびに。
その安心の奥底に必死になって隠していたものが、少しずつ白日の下に顔を出す。


もう自分を誤魔化せない。

だって、こんなにも……痛くて痛くて仕方がない。


「彼に、一度もちゃんと言えなかった」


もう届くことはない、彼への、ずっと言えなかった謝罪。



「ごめんなさい」



ごめん、タカ。
助けてあげられなくて。逃げてしまって、ごめんなさい。


ごめんなさい。



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