余所者-よそもの-【 2 】
「病院には?」
「や、やっぱり行った方がいいんですかね。何科になるんだろう」
「いつも泣きそうで泣かないから、ただ我慢強いんだと思ってた」
「そんなに情けない顔してますか?私」
「結構、何度も」
「恥ずかしいですね」
「………」
「………」
何も言わなくなったユキ。
私は彼の胸の中に埋もれた顔を上げた。
きっと今の私も、とても情けない顔をしてる。
だってこんなにもドキドキしてるから。
でも自分の顔を隠すことよりも。
私を抱きしめるこの人が、どんな顔をしてるのかが、どうしても知りたくなった。
「ユキさん?」
真上にあるシャープな顎のライン。
ユキのガラス細工みたいに繊細な顔が、ゆっくりとこちらに傾いた。
透明な瞳は、私をそのままに映して。
この胸のドキドキも、情けないと思う気持ちも。
全部まるごと、吸い込んでしまいそう。
「いつか、俺が泣かせてやる」
耳元に、低く、甘く落ちてきた声。
そうしてふ、と目尻を柔らかく下げたユキは、
「汗かいてるな。着替えとってくるよ」
何事もなかったかのように、私からあっさりと離れて寝室を出て行った。
広いベッドに一人残されて、唖然とする。
「………」
今。さらっと、とんでもないことを言われた気がする。
……泣かせるって、どんな風に?