余所者-よそもの-【 2 】
やがてユキは洗面器と白いハンドタオルを持って戻ってきた。
洗面器を床に置き、緩い湯気の上がる湯に白いタオルを浸して固く絞る。
目の前に伸びてきた手は、私の鼻の下から頬のラインを温かいタオルで拭った。
離れたユキの手元を見れば、白いタオルに赤く染みがついていた。
きっとハンカチで拭いきらなかった鼻血が顔に残ってたんだ。
ってことは。
これまでずっと私は顔を汚したまま、この眩しいほど綺麗なユキと向き合っていたことになる。
そう考えると今更、消えてしまいたいくらい恥ずかしい気持ちが込み上げてきた。
だけどユキは、そんな私の気持ちなんてお構いなしだった。
目の前で器用にタオルの折り目を変えると、今度は私の顔より下へと、タオルを滑らせようとしてきた。
「え」
いや、ちょっと待って。
着地しようとしているタオルに目をやれば、やっと気が付く。
自分の胸の谷間に血が溜まってる。
ってことは、ユキの手はここを目指しているということ。
「ちょっちょっと待ってください」
「なに」
「じ、自分でやります!」
タオルを構えるユキの手首を掴んで猛抵抗。
さすがにそれは勘弁してほしい。