余所者-よそもの-【 2 】
「なんで?」
「なんでって、だって、」
「俺、気にしないよ」
「ユキさんじゃなくて」
私が気になる。
なんで、この人はこんなにも躊躇いがないの?
思えば、初めてこの街で出会った日。
シャワーを借りた時もそうだ。
すっ裸の私もお構いなしに、平然と身体を観察してきた。
――『古い痣から、新しい痣……おまけに、根性焼きか。女にしては、随分と気合いの入った身体だな』
あの時。
事もなげにそう言ってのけたユキの顔は、まるで『お前の身体になんて興味がない』って顔をしていたことを思い出す。
今も平気で触ろうとしてくるのはきっと、本人の言う通り『気にしない』から。
そういう対象として見てないからだ。
そう思い至れば、リンコの意地悪な声だって頭の中で響いてくる。
――『実際、他にもいっぱい女いるし』
顔を近づけたり、抱きしめたり。
きっとこんなに距離が近いのは、慣れてるんだ。
私はこんなにも心臓がうるさいのに。
振り回されてるみたいで、なんだか悔しい。
「……とにかく、自分でやります」
ユキからタオルを奪い、胸元に溜まった血を自分でワシワシと乱暴に拭う。
それからなんとなくユキと言葉を交わすことがなくなった私は、ユキに寝室から出て行ってもらって服を着替えてから、再び眠りについた。