余所者-よそもの-【 2 】
ご飯を食べ終わり、片付けをして。
ソファにごろんとユキが寝ころんだタイミング。
「ユキさん。お話があります」
私の声に、ユキがゆっくりと上半身を起こした。
ソファの上から見上げてくる、凛々しい猫目。
真っ直ぐに視線を交わしながら、私は静かにユキの足元の床の上に正座をして、きゅっと姿勢を伸ばした。
「たくさんご迷惑をおかけしてしまいましたけれど、私……これからもAnBarに居たいです」
「………」
「変わらず、AnBarに置いてもらえませんか。お願いします」
私は正座をしたまま頭を下げた。
いわゆる土下座の格好。
ユキはなんて、言うかな。
熱に浮かされたまま私が話したことは、全て勝手な独白だった。
ユキへの謝罪でもなければ、自分のやったことを理解してもらうための説明でもなんでもない。
私が病人だったからか、ずっとユキは何も言わなかったし、優しかったけれど。
その胸の内で、何をどう考えているかはわからない。
もしかしたら出ていけと言われてしまうかもしれない。
目をぎゅっと閉じて、ユキの返事を待った。
やがて、ぎり、と革のソファが軋む音がした。
ユキが足を床に下ろし、ソファに正しく座り直す。
土下座をする私に身体ごと真っ直ぐに向き合う気配が、閉じた視界の向こうから伝わってきた。