余所者-よそもの-【 2 】


「かぁこは、AnBarに居たいの?」

「はい」

「シトウより?」

「……はい」

「紫藤のとこより?」

「はい……」

「………」


途切れてしまった返事に、怖くなって顔を上げた。


え……――?



「かぁこは、俺のところがいいんだ」



ユキは、さっきまで私が頭をつけていた床に視線を落としたまま、緩く笑っていた。


……なんか、嬉しそう?
そう勘違いめいたことを思えば、ボッと赤面してしまう。


「あ……あの」

「うん、いいよ。そもそも俺、お前を解雇する気なんかなかったし」

「……怒ってないんですか?」

「怒る?どうして?」


だって、野間がAnBarに私を迎えに来てからというもの。
ユキはずっと私に冷たかった。

ずっとお前なんかいらないって風な態度だった。


「私になにか、言いたいことはありませんか?」

「うーん、ないかな」

「あると思います」

「なんで俺のことをお前が決めつける」

「だって……私は一方的に思っていることを話しましたけど、ユキさんからは何も言われてません」


ユキは私の話を黙って聞いていただけ。
彼の話もシドの話も全部、私の一方的な話。


それでも、目の前のユキはいつもの綺麗な顔を崩さない。

なんてことのない顔で、何も潜まない、何も隠さないような澄んだ瞳で私を映す。


「俺はお前の話を聞けたし。AnBarを出ないならそれでいい」


言いたいことも、聞きたいことも、何もない。
この目の色が言うことは、きっと本心なのだと思えた。

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