余所者-よそもの-【 2 】
バンくんと、サンコンさんにちゃんと自分の言葉で謝る。
その上で、これからも一緒に働かせてほしいと、伝える。
だけどその前に。
私には、どうしても先にやらないといけないことがある。
逃げたままじゃ、前には進めない。
ちゃんと、精算する。
時刻は早朝、三時過ぎ。
私はユキに「今日はAnBarで眠る」と言い張った。
結局、しぶしぶといった様子のユキの車に揺られ、AnBarの前まで送ってもらう。
すでに皆帰宅して、誰も居ないAnBarに一人きり。
スマホで電話帳を開き、発信をする。
――プルルルル……
発信音は数回繰り返された後、途切れた。
『なんだ?どうした?』
これは私から、シドへ。
初めての電話だった。
「ごめん。こんな時間に」
『何かあったのか?』
「シド、今から会える?」
『何かあったんじゃねぇか。迎え寄こす。どこだ』
「いい、私が行く」
『ダメだ。今どこに居るか言え』
「………」
『カナコ』
結局私は、いつもの野間くんとの待ち合わせ場所を伝えて、電話を切った。
電話しただけなのに、やけに息が上がってる。
指先が、冷たい。
緊張……する。
しっかりしなきゃ。
ちゃんと自分の言葉で話すんだ。
両頬をパンパン、と強めに叩く。
痛みが頭を冷やしてくれた。
私は、朝日が昇る前の寂しい街へと歩き出す。