余所者-よそもの-【 2 】
「なるほどな。もう俺は要らねぇって話をしにきたのか」
声から熱が一気に引く。
シドはすぐに私の上から降りて、ベッドの縁に腰かけた。
――キン、ジッポを鳴らすと、煙草を深く吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
「シドにはとても感謝してる」
「………」
「でも、もう頼っちゃダメだと思った」
「理由は」
「私、彼のこと忘れない。ちゃんと全部、向き合おうと思う」
彼のことも、自分がやったことも。
何からも、もう目を背けない。
向き合って、受け入れていくって決めた。
「忘れない?」
シドは煙草を口元まで運んだまま、静止した。
凍り付いた空気。
私はその一言が、シドの何かの琴線に触れてしまったことを自覚なく悟った。
「……そうか」
指に挟まれた煙草から、ハラリと灰が落ちる。
「それがお前の選択か」
吸い込まれた煙草の先が、赤く光る。
「毎日死んだ男を思い出して、毎日てめぇを責めて」
「………」
「一生そうやって生きていくつもりか?」
吐き出された煙が、私たちの間を遮るように流れた。
「お前は、どこまでも罪深い女だな」
シドは笑っていた。
口元だけが歪んだそれは、諦めや侮蔑、そんな感情が込められているように見えた。