余所者-よそもの-【 2 】
私は静かにリビドーを出た。
朝日の上がらない空の下。
すう、と深く、晴れない空気を吸い込む。
「カナコさん、乙っす」
突然、闇から響いてきた声に、私は信じられない気持ちで振り返った。
「……どうして、居るの。野間くん」
さっきと迎えと同じ。
デジャブのような挨拶をした彼は、リビドーの並びの電信柱に寄りかかり、腕を組んで立っていた。
「あんなモン、誰だってお察しでしょ」
まるで私がすぐに出てくるとわかっていたような言い草だ。
「送らなくていいって言ったでしょ」
「紫藤さん、フったっすか?」
「フるとか、そういうのじゃないし」
「じゃあ、なんです?」
「けじめ」
一言そう言えば、野間は「ハハ!」と声を上げて笑った。
そのおかしな笑いに、これまでにない野間の異様さを感じた。