余所者-よそもの-【 2 】
やがてドリンクを持って私の隣に掛けた野間。
私には細いストローの刺さったオレンジジュースを差し出し、自分の前にはクラフトビールの小瓶を置いた。
「乾杯します?」
「指輪、返してよ」
「まだダメっすよ。話が終われば返します。……ってことで乾杯」
私の前に置かれたオレンジジュースと小瓶をカチン、と勝手に合わせた野間。
ごくごくと三口くらいを飲んでこちらを振り返った。
「で。さっき『けじめ』って言ってましたけど。カナコさんは今日紫藤さんに何を伝えたんです?」
「この関係を終わりにしたいって」
「紫藤さんのどこがダメでした?」
「……は?」
「紫藤さん、普通にいい男じゃないですか。シトウで抱かれたい男ランキング作ったら、ぶっちぎりのナンバーワン」
「………」
「金も権力も何もかも持ってる。ただちょっと手が早いのと、言葉足らずなところが玉にキズですが」
私がシドをフったとか。
シドのどこがダメだとか。
この人は何かを勘違いしてると思う。
「どうして野間くんは私にこだわるの?」
「質問返しですか」
「私とシドはただのセフレ。シドには本命がいて、遊びたいのなら他に女だってたくさん居る」
「『セフレ』って、紫藤さんがただの一度でもカナコさんに言いました?」
「言わなくたってそう。シドの都合でリビドーに呼ばれて、ただ肌を重ねて、眠るだけ。これをセフレ以外になんて呼ぶの?」
「なんだろ」
「でしょ」
「いや、違います。……なんか、腹立ってきましたね」
私の左に座る野間が、頬杖を突く。
頬を乗せる右手の中指にある目玉のタトゥが、またギロリと私を睨みつけていた。