余所者-よそもの-【 2 】
「紫藤さんはカエデさんに、日常的に暴力を振るっていました」
「……そう、だったんだ」
「当時のシトウは目まぐるしかったし、紫藤さんもどこかにはけ口でもないとやってられなかったのかもしれません」
「それは、おかしいよ」
私はまるで暴力を正当化する野間に、声を尖らせた。
でも彼は、そんなことは承知の上というように、静かな口調を崩さない。
「そんな中です。事件が起こりました」
野間の指先は、カウンターの上の傷を、そっとなぞった。
「やっとの思いでシトウのテッペンに立つと、今度は紫藤さんを引きずり降ろそうとする連中が現れた」
すう、と一呼吸を置いてから、続けた。
「その報復に利用されたのが、カエデさんでした」
――『昔、俺への報復に利用された。身も心も全部壊されちまった』
シドが前に話していたことだ。
「……何をされたの?」
野間は私と視線を合わせずに言った。
「平たく言えばレイプです」
「………」
「ドラッグを打たれて、狂わされた中、何度も」
カラン、と、溶けた氷が小さく音を立てた。