余所者-よそもの-【 2 】
「ねぇ。カナコさん」
「なに」
「どうして愛がないのに一緒に居られるんですか?」
「………」
「どうして離れないんですかね。紫藤さんも、カエデさんも。こんなに不幸なのに」
「わからないよ……」
「じゃあ。カナコさんはどうして、死んだ男の指輪を欲しがったんです?」
そこで私の思考が停止した。
なぜ。
理由なんか考えてもいなかった。
「こんなもの、持ってたって仕方がないじゃないですか」
「それは……」
「正直僕は、あの人がいなくなれば全部終わるのにって思ってました」
恐ろしいことを言う野間に、目を見開いた。
「でも、それじゃ紫藤さんは救われないんですね」
野間は、顔を再びカウンターに目を伏せて、思いふける。
「もうずっと紫藤さんは不安定だ。いつか、紫藤さんがカエデさん側にいっちゃうんじゃないかって、気が気でないんです」
「カエデさん側って……シドの心が壊れるってこと?」
「僕はあの人を助けたい。多夜さんだってそう思ってる」
野間はビールを垂直に煽って、一気に飲み干した。
「だから、カナコさんには紫藤さんの傍にいてほしい」
「……どうして、私なの」
「カナコさんとの関係が始まってから、とても落ち着いていたんです。昔の紫藤さんが戻ってきたみたいだった」