余所者-よそもの-【 2 】
あんなにも『忘れろ』と言ったのは。
シド自身が、忘れられない人だからだ。
きっと、ずっと苦しんでいた。
――『忘れない?』
――『毎日死んだ男を思い出して、毎日てめぇを責めて、一生そうやって生きていくつもりか』
忘れられない苦しさも知っていた。
だからシドは私を救おうとした。
――…シド自身が、救われていないのに。
「……野間くんは」
「はい」
「どうして、この話を私にしたの?」
私はうつむいたまま、静かに尋ねた。
野間は少しも迷うことなく、答えた。
「僕はただ。何か一つでも、紫藤さんに報われてほしかっただけっすよ」