余所者-よそもの-【 2 】
「サンコンさん。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした」
「いえ、」
「私、これからは皆さんにご迷惑をおかけしないようにします。なので、これからもここで一緒に働かせてください」
「いえ!悪いのは私です」
「違います。私です」
「それは違います。知らぬ顔をしてしまった私が」
「そうさせてしまったのは私ですから」
「いえ、私の管理が、」
「違います。元はと言えば私が、」
「いえ、私です、」
「いえ、私の方が、」
互いに譲れない謝罪の権利。
一向に折れないサンコンに、顔を上げようとすると、――ゴツン!と後頭部に強い衝撃を受けた。
後頭部を抑えながら顔を上げると、サンコンさんは額を抑えていた。
どうやら、顔を上げようとしたタイミングが重なって、サンコンのおでこと私の頭がぶつかってしまったらしい。
「大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫ですかっ」
お互いを心配する言葉も重なって、サンコンと目を見合わせた。
はは、とサンコンが笑い。
ふふ、と私が笑う。
笑い出すと二人一緒になって声を上げて笑った。
ひとしきり笑い合うと、サンコンの肉付きのいい顔が、キリっと引き上がる。
「私は間違えてしまいました。私にはAnBarを守る責任があります。その責任には、この店で働く皆さんを守ることも含まれていました」
「私もです。私もAnBarが大好きです。これからは間違えないように、皆さんに迷惑をおかけしないようにします」
そうやって握手を交わすと、サンコンは後ろを振り返った。
「バンくん、こちらへ」
いつの間にかフロアにぽつん、と立っていたバン。