余所者-よそもの-【 2 】
やがて、ユキの食事が出来上がった頃だった。
コツ、コツ、コツ、と無音の店内に響き渡った、ヒールの音。
すでに閉店しているここに、突然の来客。
「はぁい!リンちゃん来たわよ!」
ふらふらとした千鳥足。
とろん、とした目。
シャツは少し肩からずれ、髪も乱れている。
一目で、ものすごい酔っ払ってるとわかった。
ユキを振り返れば、彼はリンコを見るなりカウンターチェアから立ち上がり、静かに近づいた。
「どうしてここへ?」
「まだ飲み足りなくって。っていうか、アタシのこと置いて行ったでしょ!」
「起こしても起こしても、起きないから」
「許せない!ってことで、飲ませてよ」
「まだ飲むの?」
リンコの語尾にはハートマークが浮かんでいるように聞こえる。
目の前のユキに甘える声。
ユキはやれやれ、といった具合だけれど、それでもリンコのワガママを突っぱねる気はなさそうだった。
ユキはフラフラのリンコの身体を支えながら、ソファまで誘導。
ドサ、と股を大きく開きながら、革のソファに身を投げたリンコは、ぐったりと天井を向きながら、
「酒ぇ!」
と、行儀悪く注文した。
「かぁこ、赤のグラスワイン」
それを受けたユキがリンコの隣に腰かけながらそう言ったので、私は粛々と受けたドリンクを用意する。