余所者-よそもの-【 2 】
「落としたのよ」
「どこで落としたんですか?お店?」
「んーん。さっき歩いてるとき、この通りの側溝に落としちゃった」
そんな話をしていると、ユキが席を立ったのが視界の端で見えた。
歩いた方向を見る限り、お手洗いに向かったようだ。
「ウコン飲んで一発気合入れようと思ったのがダメだったなー」
こんなに酔っ払ってるくせに、ウコンを飲んでまで飲み直そうとするだなんて。
呆れながら視線を落とす。
青い石をいくつもあしらった大ぶりなピアスが、照明を受けて静かに光っていた。
「このピアス、ユキちゃんにもらったの。プレゼント」
「綺麗ですね」
「羨ましい?」
「いえ……でも、すごくリンコさんに似合うと思うから」
「………」
「落としちゃって、残念ですね」
私がそう言うと、リンコはあからさまに嫌な顔をした。
「アンタが居ると酒がマズくなる」
どうやら気に障ることを言ってしまったらしい。
「もう、アッチ行って。アタシはユキちゃんと楽しむんだから」
ぷい、と顔を背けながら、肩を押しのけられてしまった。
「わかりました」
一言だけ返し、ソファを立つ。
ちょうどお手洗いから戻ってきたユキとすれ違い、そのままカウンターへ。
「もう上がっていいですよ。何時まで飲んでるかわからないですし」
そう言ったサンコンの言葉に甘え、私は退勤の支度を始めた。
更衣室で服を着替えて、お風呂セットをバッグに準備。
銭湯に行こう。