余所者-よそもの-【 2 】
ワイワイと飲み交わす二人を尻目に、フロアを通り過ぎた。
真っ直ぐに伸びる通路の先。
透明の防音壁の手前で、足音が聞こえてきた。
後ろを振り返った頃には、すでに手首を掴まれていた。
「かぁこ」
「ユキさん。お疲れ様です」
どうしたんだろう。
ユキの顔を見ると、少し怒ったような、焦ったような。そんな顔をしている。
「どこに行く?」
そう尋ねられて、ああ、そうか、と思った。
「サンコンさんに言われたんです。先に上がっていいって」
「違う。答えになってない」
じっとこちらを見てくるユキの目に、私は少し小さくなった。
怒られている気がして。
ユキと距離を取るように、お風呂セットの入ったバッグを胸の前に掲げた。
そうして質問通り、
「お風呂です」
と、答えると、「なんだ……」と目の前で肩を落として、掴んでいる手から力がなくなる。
この手が離れてしまえば、ユキはリンコのところに戻っていく。
「ユキさん。リンコさんって……」
「なに?」
「なんでもないです」
やっぱり、やめよう。
私はユキから一歩下がってから、
「……楽しんでください」
と伝えて、AnBarを出た。