余所者-よそもの-【 2 】

55話:嘘と契約



銭湯への道すがら。

きょろきょろと路地の隅を見ながら歩いた。


リンコがピアスを落としたのは『この通りの側溝』。
そして『ウコンを飲んだ』とも言っていたから、きっとコンビニの前あたりだ。

目の前の、道路と駐車場の境界線にある側溝を覗き込む。
距離にして、せいぜい十メートルほど。

側溝の金網を、持ち上げてみる。
思ったより軽い。

……これなら探せる。


私はズボンを膝上までたくし上げて、靴と靴下を脱いだ。

ゴトン、とテーブルの上に置かれていた片方のピアスはとても重たそうだった。
きっと側溝に落ちても流されず、沈んでいると思った。

ちょっと嫌なのは、側溝の中のドロ。
どこかの汚水と、煙草の吸い殻やゴミが混ざったここは悪臭がすごいし、感触もたまらなく気持ちが悪い。

それでも、どうせお風呂に入るし。
汚れは洗い流しちゃえばいい。

宝探しのような気分。
前を通る人は、私を変な目で見ていたけど、途中からそんなことは気にならなくなった。


探し始めてから一時間くらいが経った頃。


「……あった!!」

思わず声に出して喜んだ。

ピアスはドロで汚れてしまっているけれど、ドロを拭えば隙間からキラリと青く光って、やっぱり綺麗。


ゴージャスで派手なピアスは、自分にはとても似合わないけれど。
リンコにはぴったりだ。


袋にピアスをしまい、私は銭湯へと向かった。

お風呂に入って、匂いもドロもまとめて洗い流して、ピアスも銭湯で洗ってあげて。


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