余所者-よそもの-【 2 】
どうしよう。
この迷惑な物体。
とりあえず何か掛けてあげよう。
フロアは冷える。
更衣室から取ってきた毛布を、リンコにそっと掛けた。
するとリンコは「うーん」と苦しそうな声を出しながら寝がえりを打った。
直後、弾かれたようにガバッ!と、上半身を跳ね起き上がらせた。
「トイレ」
ふらふらと立ち上がったかと思えば、カツン!とヒールで床を叩きながら倒れそうになるので、前から両手で脇を支えてあげた。
「大丈夫ですか」
「トイレ行きたいぃ」
「トイレはこっちですから」
「やぁだぁ。すぐじゃないと漏れちゃうぅ」
「じゃあさっさと歩いてください」
「うぅっ、うううぇっ」
「え?」
ちょっと、待って。
ダメ。
ダメダメ、やめて。
「うぉぉぉぉぇぇぇえ……!!」
勢いよく噴射された吐しゃ物。
「うぁぁぁあん。サイアクー」
「……え。サイアクなのはこっちのセリフなんですけど」
リンコのゲロは、放物線を描きながら私の胸から腹に直撃し。
勢いを失ってリンコの胸元だって汚した。
今日は厄日だ。
ドブからのゲロ。
……せっかくお風呂に入ったのに。