余所者-よそもの-【 2 】
「リンコさん。まだ出ますか?」
「上からは出ない。下からは出ちゃう」
「……早くトイレに行きましょう」
よちよちと歩く汚いリンコを、汚い私がトイレまで引率する。
リンコをトイレに押し込んで、改めて自分の身体を見て絶望的な気持ちになった。
すぐにでも着替えたい。
だけどリンコを放っておくこともできない。
ユキめ。
なんてものを置いて行ったんだ、と恨めしい気持ちになってきた。
トイレがリンコを預かってくれている内に、物置から大量の雑巾を取ってきた。
これ以上床の汚れを広げないように、自分の服にへばりついた汚れを拭きとる。
そうこうしていると、リンコがげっそりした顔でトイレから出てきた。
「え、ちょっとサイアクなんだけどコレ。どうしてくれんの?」
リンコは戻ってくるなり、デジャブのような悪態をつく。
『コッチのセリフだ』と同じことを言うのも疲れるので無視をした。
「どうしよう」
自分の身体を見下ろしながら嘆くリンコ。
「こっちに来てください」と声をかけ、すでに汚れている床の近くへ誘導。
自分と同じように手前の汚れだけをサッサと拭きとり、汚れた雑巾を嘔吐物の残る床にぽいっと放った。
あとでまとめて片付けよう。
「着替え貸しますから、ついてきてください。歩けますか?」
「うい」
吐いてスッキリしたのか。
一人で歩けるようになったリンコを、更衣室から自室の二階に案内する。
「アタシ、アンタの服なんか着られないわよ」
「わかってますよ。ユキさんの服なら着られるでしょ?」
「ユキちゃんの服なら着れると思う」