余所者-よそもの-【 2 】
そうして訪れた朝。
朝というか、昼過ぎ。
リンコに叩き起こされて、重い瞼を開けた。
「ねぇ、全然。眠れなかったんだけど」
気持ちよさそうに眠りながら、私を何度も蹴とばしてきたくせに、リンコの第一声はそれだった。
まして、頭を掻きながら「カナコ。コーヒー買ってきて」とふてぶてしく頼んでくる。
寝起き頭でしぶしぶコンビニまで走って戻れば、リンコは私の化粧品棚を勝手に漁っていた。
「コーヒー買ってきたんですけど……って、何してるんですか」
「ああ、ご苦労様。ねえ、クレンジングどこ?」
「そこにはないです。これですね」
手渡してあげれば、その場でクレンジングを両手にとって顔に刷り込んだ。
「あ、コーヒー飲みたかった」
「そのベタベタな手じゃ無理でしょ」
「飲ませてぇ―」
この人、人使いが粗すぎる。
分厚いメイクを落としたリンコに、どこで顔を洗うんだって聞かれたから「一階の化粧室に洗顔持って行ってください」って言うと「不便過ぎない?」とぶつぶつ文句を言いながら下に降りた。
顔を洗い、戻ってきたリンコの素顔。
私は見惚れてしまう。
「何よ……じろじろ見てんじゃないわよ」
「やっぱり、お化粧って素肌からなんですね。お肌が綺麗。化粧水とかはこれ使ってください」
「……。メイク道具も一式貸して。これじゃ外出られない」
化粧ポーチを差し出せば、リンコは「うげ!」と下品な声を上げる。
「どれもこれもプチプラばっか!」
「リンコさんっていつもどんなもの使ってるんですか?」
私が目を輝かせて尋ねると、リンコはメイクのあれこれを饒舌に語りだした。
リンコの隣で私だってメイクを始めると、「下手くそ」や「ブサイク」と散々罵られながら、メイクのテクニックだってたくさん教えてくれた。