余所者-よそもの-【 2 】


潤は『リンコの心はどっち』だと尋ねた。

ユキのことが好きなリンコの心は、きっと女性だと思う。


でも、男とか女とか、そういうこと以上に。



「リンコさんはリンコさんですよ」



思っていたことそのままを伝えると、リンコさんがガバッとこちらを振り返る。

まっすぐに視線を合わせると、リンコの表情が一瞬だけ、嘘みたいに綺麗に静止した。


「危険だ、カナコちゃん……」


潤の警告が合図のように、リンコはその持前の筋肉で私を強く抱きしめた。


「はー……なんて愛くるしいの」

「そ、それに、リンコさんは……その、」

「なぁに?」

「リンコさんとユキさんは……そういう関係なんですよね?」


私がそう尋ねれば、潤は口に含んでいた飲み物を「ぶっ……!!」と吹き出した。


「待て待て待て待て!!なんでそうなる!?」

「え、だって……」

「ユキはストレートだぞ!?」


緩んだ腕の力。
目の前の身体と距離を取って、チラリとその顔を見上げた。

リンコは、何も言わずニヤニヤと笑っている。


「だって、リンコさんが……」



――『でも、ユキちゃんってちょっと変態よね』

――『これはさすがにアタシしか知らないと思うんだけど。ユキちゃんって――――……』



私は自分の口から言葉にするのも憚(ハバカ)られるそれ。

口に手を当てながら、ぽろりと零した。



「ユ……ユキさんは、お尻が好きだって……」



一瞬の静寂の後。

潤がブハッ!!と盛大に吹き出した。


そのままテーブルをバンバン、と叩き、ヒーヒーと悲鳴を上げながらお腹を抱える。


「腹がっ腹が千切れる……!!」


唖然としていると、ソファから小刻みな振動が伝わってくることに気が付く。

隣にいるリンコも天井に向かって大きな口を開けて、ゲラゲラと笑っていた。


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