余所者-よそもの-【 2 】


するとくっついたリンコのお腹が「……ふふ」と、小さく震えた。

………笑ってる?


リンコは感情を整えるように一度大きく深呼吸をして。

やがて、ゆっくりと口を開いた。



「アタシはね。最高の店を創りたいの」



ぽつり、と呟かれたそれは、不思議とフロアによく通る声だった。


「単に男が女になりきる店じゃない。コンプレックスを抱えた人間同士が傷のなめ合いをするような店でもない」


リンコは優し気な瞳で、フロアを見渡す。


「生まれも育ちも、全部笑い飛ばしちゃう。派手で、馬鹿みたいで、この街を象徴するような。そんな、とびきりの店を創りたい」


リンコは意志が宿った瞳で、ユキを見る。

ユキはただただ、静かに耳を傾けていた。


「客に最高のサービスをするには、まずスタッフが幸せじゃなきゃダメ」

「………」

「金を生むのは金じゃない。店でも、トップでもない。夢を持った仲間よ」


リンコは脳裏に誰かを思い浮かべたように、どこかにそっと笑いかけた。


「金より仲間。それだけは譲れない」


「………」

「だから。ユキちゃんの条件は、お金だけ見れば最初から文句なかった。でも、価値観があまりに違いすぎて、いつか絶対揉めるって、そう思ってた」


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