余所者-よそもの-【 2 】


リンコは張っていた肩の力を抜き、私をそっと手放した。


「……でも。やっと人間らしい顔が見れたわ」

「………」

「契約よりも、人を選んだ。とても安心した。アンタとなら最高の店が創れると思う」


ニッコリと、艶やかに笑ってみせたリンコ。

その場にスク、と立ち上がる。


「契約しましょう。ユキちゃんの条件通りでいい。カナコも返してあげる」


そうして、スッと綺麗な右手をまっすぐに差し出したリンコ。


「よろしくね」


ユキは差し出された手を一度だけ見つめ、静かに立ち上がった。


「よろしく」

右手を差し出し、リンコと握手を交わした。


……かと思いきや。


「かぁこはそもそも俺の従業員だから『返す』はおかしい」

と、一言だけ文句を添えた。



< 232 / 274 >

この作品をシェア

pagetop