余所者-よそもの-【 2 】
リンコは張っていた肩の力を抜き、私をそっと手放した。
「……でも。やっと人間らしい顔が見れたわ」
「………」
「契約よりも、人を選んだ。とても安心した。アンタとなら最高の店が創れると思う」
ニッコリと、艶やかに笑ってみせたリンコ。
その場にスク、と立ち上がる。
「契約しましょう。ユキちゃんの条件通りでいい。カナコも返してあげる」
そうして、スッと綺麗な右手をまっすぐに差し出したリンコ。
「よろしくね」
ユキは差し出された手を一度だけ見つめ、静かに立ち上がった。
「よろしく」
右手を差し出し、リンコと握手を交わした。
……かと思いきや。
「かぁこはそもそも俺の従業員だから『返す』はおかしい」
と、一言だけ文句を添えた。