余所者-よそもの-【 2 】
カクテルが溶けた氷ですっかり薄まった頃。
女性が席を立とうとしたので、傍に駆け寄った。
「お手洗いですか?」
「いえ、帰ります」
滞在時間は一時間ほど。
カクテルだってほとんど減っていない。
あまり楽しくなかったのかもな、なんて思いながら、サンコンに「チェックです」と声をかけた。
その時。
立ち上がった女性の身体がグラリ、と大きくよろめいた。
「大丈夫ですか?」
咄嗟に腕を掴んで支える。
その瞬間、彼女の身体が驚くほど細いことに気が付いた。
俯きながら力なく私に寄りかかる女性は、とても具合が悪そうだ。
「帰れますか?」
「………」
「タクシー呼びましょうか?」
「いえ、タクシーには乗りません。すぐ、そこなので」
それなら、と私はエプロンの結び目を後ろ手に解いた。
「サンコンさん、彼女具合悪そうなので、送ってきてもいいですか?」
「暇ですし構いませんよ。助かります」
チェックを終え、女性と一緒にAnBarを出た。
肩を貸すと申し出たけれど、彼女はそれを拒み。
かろうじて自分の足でふらふらと歩き出した。