余所者-よそもの-【 2 】
「お家はどの辺ですか?」
「シトウです」
「シトウの、どの辺りですか?」
「………」
返事はない。
代わりに、ずり、ずり、と、スリッパを擦る音だけが路地に反響する。
彼女はつま先の開いた、外履き用のスリッパを履いていた。
サイズは女性の足に余るほど大きく、かなりブカブカ。
その適当な足元を見ていると、本当に家はすぐ近くなのかもしれない、と思う。
「どうして今日は飲みに出ようと思ったんですか?」
「そういう、気分だったんです」
「普段はあまり飲まれないんですか?」
「はい。お酒を飲むことはありません」
だったらどうしてあんなに強いカクテルを。
「もう少し度数の低いカクテルでもよかったかもしれませんね」
「………」
「今度来られたときは、おすすめのドリンクを紹介させてください」