余所者-よそもの-【 2 】
女性はゆっくりと私をみた。
その表情はおよそ無表情で、イマイチどんなことを考えているのかわからない。
「面倒ではないですか?」
「面倒?」
「こんな風に手間を掛けさせてしまって」
「いえ。今日楽しんでもらえなかったので、次は楽しんでもらいたいなと思って」
女性は少しだけ目を細めた。
「どうしてシトウじゃないの?」
……え?
あまりに突拍子のない質問に、頭がついていかない。
どういう意味?
私が言葉に詰まっていると、先に彼女が口を開いた。
「どうしてあんな場所でお店を?」
「ああ、露天街の外れですもんね。結構静かでいい場所ですよ。隠れ家的な感じで、案外とお客さんも来てくれます」
「隠れなきゃいけない理由があるんじゃないんですか?」
……どうして、そんな物騒なことを言うんだろう。
私が言葉を失っていると、彼女はさらに冷たい質問を重ねた。
「例えば、人のものを盗ったり」
悪いことをしたから露天街のハズレにいると思われているのかな。
それとも『盗る』という言葉だけでいうと、露天街という街そのものの街のイメージなのかもしれない。
なんて返そうか、と返事に迷いながら。
落ちる視線。
足元をみると、私たちはシトウのメイン通りの入口手前までやってきた。