余所者-よそもの-【 2 】
私は路地の隙間から誰かが来ないか、身体で女性を隠しながら通りを見張っていた。
「私……」
息も落ち着かない内。
女性は唐突に、口を開く。
「私、この街が大好きなんです」
私は一度だけ女性を一瞥してから、すぐに視線を路地の外へ戻す。
なんだって、この状況で。
追われていることと、何か関係がある話なのかな。
「普通はみんな、隠すじゃないですか。上手く生きていくために、衝動も本音も、壊れているところも」
「………」
「だけどここは違う。誰もが何かを諦めて、堕ちて。それでもそのまま生きていける」
「………」
「同じ人がたくさんいるから、怖くないし、寂しくもない。世界のどこよりも優しい街」
思わず、彼女の方を振り向いた。
その横顔は、まるで祈るように静かで。
……少し、怖いと思った。