余所者-よそもの-【 2 】
そこまで話してから、ハッとした。
つい夢中になって話し込んでしまったけれど、表がどうも騒がしい。
私は見張りをやめて、女性の傍に駆け寄った。
「ここを離れた方が良さそうです」
自分のスニーカーを脱ぎ、彼女の目の前に揃えて置いた。
こんなブカブカなスリッパじゃ、満足に走れない。
「靴、交換しましょ」
「………」
凍り付いたように、ぴくりとも動かない女性。
その顔を覗き込めば。
大きく見開いた目で、どこかわからない、遠く一点を見つめていた。
何かを見ているようで、何も見ていないような目だった。
「ごめんなさい。触りますね」
私はスリッパを脱がせ、彼女の足にスニーカーを履かせた。
代わりにスリッパを自分の足に通して、立ち上がる。
その場に座ったまま動かない彼女の手を、強引に引っ張り上げた。
「諦めないで。大丈夫、きっと逃げられます」
そこで初めて、視線が合った。
さっきまで何も映していなかった瞳が、大きく揺れている。
怯えているようにも、涙をこらえているようにも見えた。