余所者-よそもの-【 2 】


程なくして、突然店内の照明がプン、と落ちる。

真っ暗になったかと思えば、パチン、と中央のステージだけが明るく照らされた。


BGMが消えた空間に、コツ、コツ、とヒールの音だけが鳴り響く。


騒がしかった店内は、その音が響くたびに静まっていき。

リンコがステージ中央に立ち、マイクを構えた頃には、息を呑むほど静まり返っていた。


リンコはスポットライトを浴びながら、ゆっくりと客席を見渡している。

スイッチが入っているマイクが、ぼそぼそと衣擦れの音だけを拾う。


まるで今という時間を噛みしめるようなリンコは、すう、と軽く息を吸い込むと。
いつもの艶やかな笑顔を、ライトの下でさらに輝かせた。


「みんな。今日は本当にありがと」

リンコが話し出すと、どこからともなく拍手や、歓声、指笛が鳴り響いた。


「馴染みの人も、初めましての人も。今夜だけは肩書きも、年齢も、男も女も全部忘れちゃって。朝まで飲みたい人は朝まで付き合うわ」

客席から小さなどよめきと笑い声が起きると、リンコはお茶目に肩をすくめた。


「ここはただ、ありのままの自分に返る場所」

再び、客席が静かになる。


「笑われる場所なんて、外にはいくらでもある。だからここでは、腹抱えて思いっきり笑いなさい。今日は誰一人寂しい顔で帰さない」

リンコは客席を一つずつ、愛おしそうに見つめた。


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