余所者-よそもの-【 2 】
指された方へ、おろおろとお酒を持って行く。
そこには三十代くらいの男の人が二人、腰かけていた。
私は「失礼します」と声をかけ、AnBarでも見慣れたワインの名前を口にしながら、ボトルをそっと置いた。
すると男性は目を丸くして、感心したように言った。
「うわぁ……さすがリンコさんの店だ。君、完成度高いね!」
「は、はあ」
「席ついてよ」
「いえ、失礼します」
「ちょっとだけでいいよ!」
「いや、私は……」
「乾杯だけ!」
そうして、押し切られるように席に座らされてしまった。
しばらくの間、男性からはいろんな質問をされた。
途中で「私ここのキャストじゃないです」とか「れっきとした女です」とか。
説明をしようかと思ったけど、どちらもお酒を運んでしまった手前、言い出すことができなかった。
グラスに入った赤ワインが半分ほど減った頃だった。
フロアを移動していたリンコと、パチリと目が合った。
リンコは綺麗に二度見をした後、「はぁ?」という顔をしてからこちらに突進してくる。
「なんでアンタがここにいるの!」
客席にも構わず、声を上げた。
「え、リンコさん、どうしたの?」
何も言えない私に代わって、客が尋ねる。
「この子、アタシの親友だから。引っかけちゃダメよ」
「え、キャストじゃないの?」
リンコが簡単に説明すれば、客は「勘違いしちゃった。ごめんね」と謝ってくれた。