余所者-よそもの-【 2 】
「俺、謝るとか絶対したくない」
「……何の話?」
「でも今、酔っぱらってるから!」
「え、うん」
「酔っぱらってるから、別に言ってやってもいい!」
私はじっと、酒に赤らんだバンの顔を見た。
「ごめん!!」
「……え?」
「俺、強くなる。いつか絶対、正々堂々と敵を討つ」
それは。
私に怪我をさせたことの話だ。
一応、私もバンくんも謝ったし、話は丸く収まっていた。
けれど、ずっと。
どこかぎくしゃくとしていて、完全に元通りの関係には至っていなかった。
「お前のことは嫌いじゃない。出ていけとかも、もう言わない。だから……」
「うん」
「ちゃんと、しろ!」
ぶっきらぼうな言葉だった。
だけど、だからこそ嬉しかった。
今度こそ、本当の仲直りだ。
「バンくん、ありがとう。私、ちゃんとする」
それだけを伝えると。
バンが気まずそうに目を逸らしてトイレに逃げ込もうとしたので、慌てて呼び止めた。
「なんだよ!」
「あの……」
「ああ!?」
「唇に、さっきのキスの口紅がべったりついてるよ」
教えてあげれば、バンは耳まで赤くして、トイレに駆け込んでいった。