余所者-よそもの-【 2 】
――その日の、深夜。
営業終了時間、間際のことだった。
「サンコンさん、電話鳴ってますよ」
内側のカウンターで振動したサンコンのスマホ。
教えてあげれば、サンコンはグラスを洗っていた濡れた手をささっと拭いて、電話を取った。
声を聞いただけでわかる。
電話口はユキだ。
「カナコさん」
「はい?」
電話を切ったサンコンが、私を見る。
「今、ユキから連絡がありまして、今日は外に出るなということです」
「どうしてですか?」
「なにやら街で騒動が起こっていると。露天街も混乱しているそうです」
外に出られないとなると、お風呂はどうしよう。
そう思っていると、伝言には続きがあった。
「仕事が終わり次第、ユキがここに寄るとのことでした」
ユキの家でお風呂を借りられるということかな。
「わかりました」
サンコンに返事をすると、私はエプロンを外して、カウンターチェアに置いた。
「そろそろ看板、しまってきますね」