余所者-よそもの-【 2 】
「シド」
――ごす、ごす、と音を立てて目の前の全てを破壊していく、人形。
シドの瞳には、色なんてなかった。
何も、見えてない。
何も……見たくないようだった。
「――シド……!!」
私はシドの背中に両腕を回す。
「シド、シド、シド、シド、……!!」
何度も、何度も呼んだ。
シドが誰かを殴るたび。
その衝撃が、抱きついた身体を震わせる。
私はその震えに向かって、なおも名前を呼び続けた。
やがて。
足元で――ドサリ、と重たいものが落ちる音がして、くっついた身体から振動が返ってくる。
「退け」
低い声だった。
怒鳴ったわけでもない。
それなのに、胸の奥が凍りつくほど冷たかった。