余所者-よそもの-【 2 】


対峙した、目の前の男。

その顔には、見覚えがあった。


「あーなぁんか、この子。俺ぇ、見覚えあるなぁ」


――『そうなる前に死ねてよかったよねぇ』

Z地区ですでに二度も会ったことのある、長身の男だ。


「奇遇だねぇ。こんなところで会うなんて」

「………」


私が何も言えないでいると、ここまで私を連れてきた弱気の男が逃げるように背を向けた。


「じゃ、じゃあ、あとはソッチで」

「待ったぁ」

「な、なに!」

「これ、どこで拾ってきたぁ?」

「そ、その辺に、転がってた……」

「この子、たしか紫藤さんと一緒に居たんだよなぁ」

「え、ええ!そうなの!?」

「幻覚でなければ。この子、本当に手ぇ出していいヤツ?」

「あ、ああ……」

「うーん……」


まじまじと見つめてくるその男に、私は這い出るような声で懇願するしかなかった。


「帰し……て、え」


あれ?
どうして。

舌が、上手く回らない。


――そこでようやく、自分の身体の異変に気が付いた。


ガタガタと、全身の震えが止まらない。

視界だって、さっきからおかしい。
ぐにゃぐにゃと、男の顔が歪んで見える。

目が、酷く霞む。


逃げなきゃ。

そう思うのに、重力が、わからない。


今自分が座っているのか立っているのか、そんな感覚すら、ない。


怖い。

身体が、言うことをきかない。



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