余所者-よそもの-【 2 】
「………」
ビリヤード台の脇。
椅子に腰掛けているのか、その目線は私と平行線上にあった。
黒いパーカーのフードを目深に被り、静かに俯いている男。
フードの隙間から、濁りのない白い髪の毛が見えた。
「君は」
白い髪の男は、突然口を開いた。
「ゼットの住人ではないね。盛られたの?」
目を合わさず、ぽつり、ぽつりと冷淡に話す。
「悲しいね。こんなところまで堕っこちて」
「………」
「この騒動は君のせい?」
「………」
「君を殺せば、あの男は止まるかな?」
白い髪が、一瞬、白銀に光った気がした。
だけどそれは目の錯覚だった。
本当に光ったのは、私の目の前に突き付けられたナイフ。
冷たい刃先が、私の目玉のすぐ手前に向けられていた。
刃先に無理やり焦点を当てれば、そこで初めて男と目が合った。
クマの目立つその目の真ん中で光る瞳に、底知れない狂気を感じる。
「僕の名は、地下の売人。はじめまして、さようなら」