余所者-よそもの-【 2 】
ナイフの光が走ったのと同時。
――ドゴン!と大きな衝撃音が響いた。
「………」
振り下ろされかけたナイフが、私の目元でピタリと止まる。
白髪の男――地下の売人は動きを止め、大きな物音のした方をじっと見つめていた。
やがて、彼は私から興味を失ったように、ナイフを私の目のすぐ脇にーードス、と。
台の上に、真っ直ぐに突き刺した。
「すごいな……あの人数をたった一人で。脅威だな」
「………」
「あの男、先に殺すか」
目の前のナイフの柄が、再び握り直された。
「……なに?」
「………」
私は咄嗟に、右手でナイフの刃を握りしめた。
鋭い刃を伝って、私の真っ赤な血がタラタラと這っていく。
「ダメなの?なんで?」
「………」
「君を殺すよ?いいの?自分の命より、守るものなんてある?」
「………」
「……変なの」
そう呟くと。
地下の売人は暇でも潰すみたいに、一方的に話しだした。